従業員が研修で得られた学びを業務に生かす方法
人材育成には様々な方法があり、いずれも長所と短所があります。例えば、先輩の背中を見て仕事を覚えるという方法は、より実践的なスキルが身につくという長所がある一方で、時に職人気質が短所になることもあります。ここからは、それとは逆に、従業員が研修で得られた学びを業務に生かす方法について紹介します。
目次
研修で学んだことを記述する
研修を受けた従業員は、具体的な行動計画を作成するために、研修で学んだことを記述する必要があります。具体的には、研修で学んだこと、それがどのような仕事に生かせるか、そして、その結果として仕事がどのように変わるかです。
研修で学んだこと
ここで重要なことは、できるだけ具体的にかつ漏れのないように、研修で学んだ内容を記述することです。そうすることにより、実際の業務にどのように生かせるかがイメージできるようになります。そのためには、研修中にしっかりとメモを取ることが有効になります。
どのような仕事に生かせるか
次に、研修で学んだことは自分にとってどのような仕事に生かせるかを具体的に記述します。ここでのポイントは、その仕事が自分にとってキャリアアップに繋がるか否かということです。もし、その仕事が自分のキャリアアップに繋がらないと判断したのであれば、それをあえて記述する必要はありません。
仕事がどのように変わるか
最後は、研修で学んだことを仕事に生かすことで、これまでの仕事がどのように変わるかを具体的に記述します。これはいうなれば、本人にとっての“あるべき姿”ともいえます。ここでのポイントは、それが本当に自分の望んでいる姿なのか否かということです。
具体的な行動計画を作成する
教育プログラムに参加した従業員は、上記で記述したことを基にして、具体的な行動計画を作成します。具体的には、「いつまでに」「何を」行うかということです。
いつまでに“あるべき姿”になるようにするのか
計画を立てるということは、ある事を行う際に方法や手順を考える事です。その際に重要なのは、「いつまでに」を決めておく事です。これがなく「出来たときが終わり」というのでは計画とは呼べません。ここでのポイントは、会社の事業計画との整合性です。例えば、会社が来年度から新しい事業の立ち上げを計画しており、本人がその事業に参画しようとしているのであれば、期限は限られています。また、本人が昇進して管理職になることが決まっているのであれば、その時までにはある程度のマネジメント能力を身につけておく必要があります。
他に学ぶ必要があるものは何か
教育プログラムに参加した従業員が、そのままの状態で自分が目標とする“あるべき姿”に近づけるのであれば問題はありません。しかし、そのためには、他に学ぶ必要がある場合には話は異なってきます。従って、他に学ぶ必要がある場合は、それをどのようにして習得するかを行動計画に記載する必要があります。
仮に、行動計画に重複することがあっても、効率は落ちますが目標を達成することはできます。しかし、行動計画に漏れがある場合は目標を達成できないこともあります。いずれにしても、具体的な行動計画を作成する際には「重複なく・漏れなく」が重要になってきます。
上司が部下の行動をサポートする
上司は、部下の研修内容を事前に把握した上で、以下のPDCAサイクルを回して部下の行動をサポートする必要があります。
Plan(計画)
上司は、部下が作成した行動計画を事前に評価します。評価するポイントは、部下の能力に比べて行動計画の内容は易しすぎないか、あるいは難しすぎないか、期限までに終わらせることはできるのか、そして、そもそもこの行動計画は本人にとって役に立つものなのか等々です。問題があれば指摘し行動計画の修正を促し、問題がなければ、次のステップである実行に移ります。
Do(実行)
上司は、部下が作成した行動計画を基に本人に対して仕事を割り振ります。ここでのポイントは、他の部下に割り振っている仕事との整合性です。つまり、重複した業務がないのか、あるいはその逆に滞る業務はないのか等々です。そうした業務全体を見渡せるのは、彼らを管理している上司しか居ません。
Check(評価)
上司は、部下の仕事がひと段落したら、彼と面談して仕事ぶりを評価します。ここでのポイントは、部下が褒められて伸びるタイプなのか、その逆に叱られて伸びるタイプかを見極めることです。従って、部下が前者のタイプであれば主にプラスのフィードバックを行い、逆に後者のタイプであればマイナスのフィードバックを行います。いずれにしても、部下の性格を見極めることが重要です。
Act(改善)
上司は、部下の仕事ぶりを評価し、問題があれば部下に対して行動計画の修正を指示します。問題がなければ、次の行動計画の作成を促し、最初の計画段階に戻って次の仕事に取り組ませます。こうして、PDCAサイクルを回すことで、部下は“あるべき姿”に近くことができるようになるでしょう。
最後にこれまでの内容をまとめます。従業員が研修で得られた学びを業務に生かすには、従業員に対して研修で学んだことを記述させたうえで具体的な行動計画を作成させ、上司はその行動をしっかりとサポートする必要があります。