中長期的な集客施策「ファンマーケティング」とは
ファンマーケティングとは企業が商品を体験・評価するための場所を提供することでファンとファンの絆、また企業や商品との絆を深め、さらに第三者に拡散していく手法のことです。従来までは雑誌出版社やフリーペーパー発行会社などがいわばPRの手法として行ってきたものですが、現在はSNSで一気に拡散することができるため、デジタルマーケティング施策として大きな効果が期待できます。
今まで広告メディアに依存した会社が広告運用からSNSやオウンドメディアの立ち上げから運用、そしてファンコミュニティまで内製化する動きが出てきています。今回はそのファンマーケティングについて取り上げて見たいと思います。
目次
リアルな場でのファンマーケティング事例
ファンマーケティングは元々は女性向け雑誌やフリーペーパーの読者を集めて企業が実際にその商品に対してどのような印象を持っているか、そして実際に使って見てどうだったか、いわゆるモニター調査を兼ねたPR手法で、読者から見れば自分と同じ世代の人間が感じて発する言葉に対して共感を覚えて、その商品を購入、使用するといった効果がありました。ただし、その影響を及ぼす範囲は基本、その媒体の読者と口コミでの影響範囲はある程度限られていたように思います。それが今ではSNSの普及で、スピード、範囲共に紙メディアの比にならないほどの影響力を持つようになっています。
また、現在オウンドメディアを開設する企業も増え、そのメディアの中でファンが集まれるような場を設けることで、企業やその商品・サービスとのエンゲージメントを高めるようなファンコミュニティ を作る動きも活発化しています。ファンコミュニティはいわばワークショップのようなもので、最初はファシリテーターがそのテーマに合わせて、参加者に発言や体験を促し、最終的には参加者同士が自発的に意見やアイデアを出し合うことでその企業が持つ課題を浮き彫りにし、解決に導いたり、企業や商品の強み・弱み・機会・脅威などを明確化して、事業戦略を組み立てるようなフレームワークを進めていくのに適している他、フィードバックによってプロダクトから考えていく、または、ファンがファンを呼び自然に大きなコミュニティに発展していくという理想的な形を形成して行きます。
事例紹介
カゴメ
カゴメではウェブサイト上にトークルームを開設し、夏場に向けて暑さに負けないために積極的に摂りたいメニューはなどのテーマを提示し、読者がそれぞれ提案することによって企業とユーザー、ユーザーとユーザーの絆を深める場を提供したり、トマトをベースとした美味しくて健康に良いレシピを紹介するだけでなく、ユーザーからも投稿を募るなど、それぞれがwin×winになれる場所を提供することでカゴメ自体のロイヤリティーやブランド価値が上昇して行きます。
GU
アパレルブランド「GU」では、ブランドのファンとファッションを自由に楽しむためのコミュニティ「GU-MANIA」を運営しており、GUのユーザーが自分の着こなしを紹介しあったり、新作情報を得られたり、ファン同士のオフ会などを開いたりして、企業がファンとファンをつなげることでブランドに対するエンゲージメントを強めています。
KFC
ケンタッキーフライドチキンでおなじみのKFCでは「KFCアンバサダー」制度を設けてケンタッキーフライドチキンの定番商品「オリジナルチキン」はもちろんのこと、新商品や他の商品の試食ができたり、マイスターによるケンタッキーのおいしさの秘密に関する話、ケンタッキーに関するクイズなど、盛りだくさんの内容でファン同士が楽しい時間を過ごせる、アンバサダー限定のイベントなどを実施しています。
このように広告・PRに頼らないマーケティング施策として非常に魅力のあるファンマーケティングですが、メリットだけでなくデメリットもありますので注意が必要です。
ファンマーケティングのメリット
企業が一方的に押し付けでないファンの拡大、ファンがファンを呼ぶ自然発生的マーケティングの醸成が可能
初期投資やイベント時の費用はかかるが、それ以上の広告・PR費用がかからない
ファンとファンがつながる場を与えることで、ブランドチェンジの機会を防ぐ
ファンの本音からプロダクトへのフィードバックを行えるため商品やサービスの改良につながる
ファンマーケティングのデメリット
結果が出るまでに時間がかかるため、試行錯誤しながらもじっくり長期的に取り組む必要がある
誹謗中傷などの投稿などのリスクがあるため、管理面に注意する必要がある
ファンマーケティングを作る上でのポイント
1.ファンコミュニティの目的を決める
まずはじめに行うことはファンコミュニティの目的を最初に決めることです。この目的が曖昧だとファンはいつまで立っても増えていきません。また注意したいのはその企業の商品やサービスのみに焦点を当てるのではなく、その商品やサービスを使用する真の理由、ベネフィットを理解し、そのベネフィットを商品やサービス以外のところでカバーしていくということです。
2.ファンの潜在ニーズを把握する
コミュニティは、企業の商品の売り込みの場ではありません。あくまでもファン通しが自然につながりその輪を広げていくことをサポートするためのものですので、ファンの心にある潜在的なニーズを読み解くことが重要です。
3.常に目配りを欠かさず、ファン通しが盛り上がれるテーマを出したり、オフ会などの機会を設ける
ファンコミュティの運営者はいわば飲み会の進行役のようなものです。ファンがどうしたら盛り上がったり交流しやすくなるのか、常に新しい企画を考えていく必要があります。ただファン同士に任せっきりにしてしまうとコミュニティは自然と廃れて行ってしまいます。
以上、今回はうまく運用できれば大きな資産となりえるファンマーケティングについてご紹介してきました。ファンマーケティングを成功させる秘訣は企業側がその商品を購入してくれているファンの一人一人をしっかり見つめ、長期的に見守っていく姿勢が必要です。
また、結果が出るまでは時間がかかりますが、もしコミュティづくりが成功すれば、当然ながら商品やサービスの購入機会が増え、売り上げに貢献することはもちろん、会社としての大きな資産となります。、ぜひ短期的な広告・PR施策と並行して腰を据えて行いましょう。