短期雇用の待遇改善が長期雇用の増加を生む
現在、人手不足が深刻化しています。
いわゆる人手不足倒産は、このままのペースで進むと平成30年は400件以上の予測になっており、平成27年の340件を大きく超えて過去最多となります。その中でも、従業員が集まらない求人難による倒産が40件と、既に過去最多の35件を上回っています。
この求人難の時代に、どうすれば従業員を増やすことが出来るのか、人事担当の方は頭を抱えていると思われます。
中でも短期雇用が喜ばれた過去と違い、継続した人手不足の解消が望める正社員の増加が重要です。では、どうすれば長期雇用者が増やせるのか?
そのために、筆者の経験による契約社員、パートなどの短期雇用の待遇改善から長期雇用の増加につながった方法をお教えします。
また、医療業界に属する為、医療分野を例にあげることが多いですが、どの業界でも応用できる普遍的なマーケティングでもあります。
短期雇用者の重要性
正社員を増やすための長期雇用者の待遇改善に比べて、短期雇用者を後回しにしていないでしょうか?
医療業界に限らず、すぐに辞めてしまからと短期雇用者の待遇をおざなりにしているのが現状です。しかし、長期雇用者を増やすためにも短期雇用者の待遇改善は重要なのです。
短期雇用者の待遇改善で見込まれるのが、まずは、延長やリピーターの可能性の増加です。待遇が良ければ短期雇用者の契約期間延長や、再雇用に繋がりやすくなります。短期希望の人材でも待遇がよければ、それならば長期で働きたいとなりやすいのです。何らかの事情があり短期でしか働けない人も、事情が変わった時に再雇用を希望しやすくなるのです。
次にSNS時代に重要度の高い口コミの高評価です。就職先を決めるにあたって会社の評判をネットの口コミを参考にする人が増えています。
遠慮がちな正社員に比べて、会社を退職してしまった短期雇用者は待遇の良し悪しをはっきりと発言する傾向にあります。したがって短期雇用者の待遇は広がりやすいのです。その評判をみた就職希望者に避けられてしまうと短期契約のみならず長期雇用希望者が減少することになります。反対に、よい評判は長期雇用者の増加にも繋がるのです。
以上のことから短期雇用者の待遇改善の重要性がお分かりいただけたと思います。それなら具体的には、どう待遇改善をするべきなのかを紹介します。
具体的な待遇改善方法について
待遇で一番重要なのは給与であることは間違いありません。しかし、無制限に給与を増やせないのも実情です。
次に重要なのが労働時間の厳守です。短期雇用者だからと、無駄な残業や早出を命じていないでしょうか?
短期雇用者は、時間的な事情がある場合が多いので、労働基準法を守るのは、もちろんのこと、それ以上に労働時間に対して配慮する必要があります。
しかし、これまで述べたことは基本的なことです。ほとんどの企業は守られていると思います。
具体的な改善策「マニュアル改善」
具体的な改善の方法とは、マニュアルの改善です。マニュアルに、あまり良いイメージのない世代もいらっしゃいますが、現代においてマニュアルは重要性を増しています。
昔ながらの「目で見て覚えろ」「わからないことは聞け」などの古い教育方法では、必要な技術の習得が遅くなるだけです。
一応、マニュアルが置いてあっても、業務が複雑化し毎年のように技術の一新があるのに、そのためのマニュアルは10年以上前から変更なしなんてことは珍しくありません。
マニュアルを改善するに当たって重要なのは、最低1年に一回は更新することです。もちろん変化があればすぐに更新します。変更がなくても見直しはしてください。少しの変化だからと、そのままにしておくと積み重なって情報の古い使い物にならないマニュアルになります。
次に重要なのがローカルルールも記載することです。ある事項に対して業界全体に普遍的なルールがなく、各自が独自のルールを作っていることはよくあります。独自ルールだから載せなくてよいなどとせず、ローカルルールだからこそ記載してください。短期雇用者には必要な情報です。とくに同じ業界からの転職者は、ローカルルールの違いに混乱しやすいので、きっちりルールを作ってマニュアルに載せておくことが重要です。
この二つは最低守るようにしましょう。医療業界のような専門性の高い分野だけでなく、他の分野でも職場は学びの場でもあります。高い技術を学べることを職場選びの理由にするひとは少なくないのです。学べるための教本作りを疎かにしていては、求職の増加よりも離職の可能性が増えます。
立派なマニュアルが出来上がったら、それの運用方法にも気を配りましょう。マニュアル公開の手段によって見る目が違ってきます。いわば雰囲気作りも重要なのです。
コピーされたマニュアルをファイリングするだけでも悪いわけではないですが、できれば、もっと使いやすく見た目にも良い方法を取りたいところです。かといって製本するとなると、更新に対応出来なくなります。やはり一番良いのはオンライン化です。
マニュアル管理の重要なポイントに、更新のしやすさ、配布の容易さ、保管状態、見た目の良さ、が上げられますが、オンラインマニュアルであれば、全ての要件を満たすことが出来ます。
オンラインであれば、従業員の学習が場所を問わず行え、自宅で少し確認したいなどの需要にも応えることが出来ます。
さらに、全面公開する必要はありませんが、一部を公開することで教育体制の完備をアピールすることになり宣伝にも繋がります。
このようにオンライン化の恩恵は大きな物があります。そして、さらにそれを推し進めるならば、動画の活用も見過ごせません。複雑なマニュアルは、動画化することで覚えやすくなり、なおかつイメージも良くなります。
発注するに当たっては、医療業界などの専門分野でのマニュアル作りに答えてくれる業者の選別と、ローカルルールを盛り込んでくれるなどの条件交渉は欠かせません。
これらに気をつけて、効果の高いマニュアルを作成更新していくことにより、短期雇用者の早期の戦力化ならびに働きやすい職場になります。そうすることが長期雇用者の増加も呼び込み、人手不足の解消へと結果が出てくるのです。
これらの方法は、どこの企業、どこのマーケティング分野でも応用できますので、自社は関係ないと思わずに、ご考慮ください。
人手が足りず、そんなことをする余裕がないと後回しにすればするほど、さらなる人手不足を呼ぶことになります。どうしても人手が割けないのであれば、マニュアル専門の業者に、その点も含めて相談してみましょう。