医療法人のタイアップ型集患マーケティング方法
集客、集患などマーケティング方法は法人運営上、重要な要素となっています。
特に医療法人におきましては医療法における病院等の広告規制、ガイドラインがあるため、一般企業と同じような派手なPR戦略は難しいのが現状です。ただし、そのような法的環境の中でも優れた技術と医療サービスを広く周知し、必要な方への来院に結び付けることは地域医療の充実におきましても大切な施策であると考えます。
その施策方法の1つをご紹介いたします。
病院のマーケティング戦略について
患者等の利用者保護の観点から、医療に関する広告は例外事項以外に関しては原則として広告が禁止されています。また、2018年6月1日からは新しい医療広告ガイドラインによって「ホームページ」についても様々な表現規制が行われました。
- 優れた医療技術と誠意があれば、患者は自然と集まる
- 口コミで患者は増える
などと理想を言っても、この情報過多の現代社会では現実との一致は難しいといえます。
また、どれほど優れた本物の医療技術でもそれを必要な人に知らせる方法がないかぎり、患者はその病院にたどり着くことができません。つまり適切なマーケティング方法というのは、「その治療を必要としている患者」に、正しい情報を与えて病院治療に導くための必要な情報提供なのです。
士業とのタイアップ
タイアップによる戦略の重要性
病院本体がストレートに広告、PRできないという状況ですが、集患は必要なことです。
法人である以上、設備投資、スタッフ人件費など適切に病院運営をしていくには市場の中で健全な経営をしなくてはいけません。
これは決して派手に営業をして暴利をむさぼるということではありませんが、経営計画、収支計画なしに適切な医療サービスはできないのです。そのため、サービス水準を維持するためにもマーケティング方法に基づいた集患活動が必要になります。1つの方法ですが、司法書士や弁護士との士業とのタイアップにより、大きく実績を出す方法がありますのでご紹介いたします。
まずは士業の選定を行いリスト作りをする
まずはタイアップする士業を選定します。
司法書士法人や弁護士法人、または両法人が入っている連合体が良いと思います。最初に行うのはリストアップです。同じ活動地域にいて条件に合いそうな士業法人をリストアップし、パートナーシップの提案に行きます。
弁護士法人ならば全ての法律業務が可能ですが、顧問料や着手金含めて水準が高めです。司法書士法人ならば、登記の専門家ですがその他法律業務も対応し、簡裁代理権のある司法書士であれば140万円以下の民事訴訟案件の対応が可能となります。
なお、司法書士事務所は弁護士事務所より若干費用が安めです。
パートナーシップを締結するにあたり、病院側としては登記業務、訴訟業務、その他の法律業務を相手に依頼して関係性を築きます。なかでも債権回収業務を依頼することは病院の利益にもなります。医療費の未収金というのは意外と累積し、経営を圧迫しているものです。着手金無料・成功報酬型で債権回収してくれる法律士業ならば非常に助かります。
上記の業務を依頼でき、かつ相続・法律セミナーやメディア広告に対しても力のある士業とタイアップするのがマーケティング上は効果的です。
連携セミナーの活用
病院主催でのメディカルセミナーや医療セミナーを行い、知名度向上や地域PRに活用している法人もあることでしょう。
たまにはそこに法律家も交えてタイアップしたセミナーを行います。「相続」「地域医療」「ヘルスケア施策」など、医療法人と法律家では意外と親和性のあるテーマも多いものです。
医療系セミナー以外にも、士業側の法律セミナーがあれば、タイアップして協力していきます。ときには保険会社や製薬会社とも合同で進めていくことでより大きなセミナーになることでしょう。士業と連携している相続相談センター等ともつながりをもつことも有効です。
このようにタイアップセミナーを行っていくと、士業側のクライアントへも病院のPRになります。
セミナーにくる聴衆からは普段の病院セミナーとはまた違った客層を獲得できます。またTVやラジオとつながりの深い士業であれば、同道活動した際のメディア宣伝効果もあります。インターネット上でもセミナー周知や士業側のインフルエンサー効果で広告宣伝効果が相乗的に高まっていきます。
士業側のビジネスイベント
士業にも広告規制があるのですが、大手士業法人になるとクライアント企業を集めた大規模なイベントを行うケースもあります。
シニアビジネスイベントや相続説明会などです。
高齢者向けのイベントに関しては病院としても関係性を築いていくことは非常に有効なマーケティング方法といえます。特にねらい目なのは、単一業種だけではなく、多数の業種が集まるようなセミナー型交流イベントです。そこでまた親和性の高い新たなタイアップ先がないかをも模索します。
つまり広告宣伝の方法としては士業を中心に他の業種とも連携して、パートナーシップによって広告宣伝していきます。同時にそのタイアップ相手の顧客筋・PR範囲にも相乗りするという方法です。
ラジオの活用
病院側としてもメディアとタイアップして広告展開を考えることができます。これは派手な広告をラジオやTVで流すということではありません。
メディアの枠の中に番組や取材枠を持つということです。
- 「健康番組」
- 「認知症予防」
- 「アンチエイジングご紹介」
- 「介護講座」
など高齢化社会にはいくつものニーズがあります。メディアと病院の接続は直接広告以外にも方法はあります。
メディアと言えば、テレビ、ラジオ、インターネット動画など数多くありますので、スピーカー担当者の相性で決められるのが良いかと思いますが、おすすめはラジオです。
理由は価格設定が手ごろな割に、地域浸透度が高く、真面目な医療番組枠という性質にも向いているからです。
テレビやインターネットで幅広く宣伝しても、わざわざ遠くの病院に行く人は少ないのが現実です。病院や士業というものは地域性が高いため、地域効果の高いメディア媒体を選択するのがコストパフォーマンス的には良いのです。
ある程度ラジオ局の営業担当者と良好な関係を構築できた場合、レポート取材枠がもらいやすくなります。
レポート取材枠というのはラジオレポーターが地域の法人や施設に訪問して、現場でインタビュー取材をするのですが、実際は打ち合わせの上での自社PRになります。ラジオ局としても定期的にこの枠は埋めなくてはいけないので、病院で「新しい診療科を新設した」「珍しい医療サービス」など材料があれば、インタビュアーを呼びやすくなります。
場合によってはインタビューのため無料です。このように通常の番組枠とは別にオプションでインタビューPRができるようになると、地域での浸透度もかなり深まり、ラジオの前の地域住民も安心して通院することになるでしょう。
士業やメディアとのタイアップによってPR効果をおこなっていく方法です。
広告規制があるため、他企業とタイアップし、堅実に実績を紹介していくことが重要かと思います。特に他業種とのタイアップは通常では出会えない客層やPR筋を活用でき、病院経営の新しい進路になるかもしれません。