採用時の対象者(ターゲット)の決定方法!「求人増加の方法」
介護施設と一言で言っても、施設の形態や提供しているサービスにより求人の対象者が様々異なるのではないしょうか。
その場合の自分達の施設において、「どのような職員を採用したいのか」を決め、求人責任者や現場の責任者が共有することなどの方法をお伝えします。
介護の現場は年々厳しくなっている!
介護施設の求人は年々厳しくなっている現実があります。
その主な要因は、介護施設の乱立、限られた介護報酬の中での厳しい運営による低賃金、世間の景気回復などによる介護職の敬遠等が考えられます。
実際、2018年1月の行政法人福祉医療機構の特別養護老人ホームに対するアンケート調査でも64.3%の施設は人材不足と感じており、外国人を雇用している施設も16.4%、60歳以上の職員が12.6%を占めるなど逼迫した施設運営を迫られていることが調査からも明らかになっています。
また介護施設と一言で言っても、施設の形態や提供しているサービス、また法人の規模においても求人の方法は異なります。
比較的大規模な法人や施設であれば、紹介会社や派遣会社の活用、有料広告媒体などの活用で求人に力を入れることも可能かもしれない。しかし、多くの介護施設はそのようなところにまで費用を掛けられない現実があります。
費用をかけることなく、マッチングした人材を集めるためには
どうすればいいでしょうか?
どのような人材が必要かをまずは明確に!
施設の形態により求める人材も大きく異なります。
同じ介護職員と言えども、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設では夜勤を伴う大型施設の場合が一般的ですし、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護の場合は、小規模であっても夜勤を伴う場合が多くあります。また、ホームヘルパーやデイサービスの場合は、夜勤を伴わないことがほとんどです。
各施設の例もご覧いただいても、夜勤を伴う介護職員は、夜勤がない職員よりもさらに求人のハードルが高くなるわけです。
また求人を行う責任者と、現場の責任者の意思統一が取れていないと採用後のミスマッチが起こりがちになります。
介護労働安定センターの2016年度調査では、介護サービス全体の離職率は16.7%とせっかく採用に結びついてもかなりの高い確率で離職になっていることが数字上でも明らかになっています。
よく現場の職員から声が上がるのは、「即戦力の職員を採用してほしい」という声ではありますが、しかし、即戦力で活躍できる人材は非常に限られており、また新しい施設に入った職員が必ずしもその施設において今までの経験をスグに活かせない場合も多くあります。そうすると、採用された側も、採用した側もミスマッチとなり結果的に早期退職に繋がる場合も・・・。
つまり採用活動をする際には、採用責任者だけでなく少なくとも現場の責任者は求職者の売り手市場であることを理解する必要があるわけです。
つまり、求人を行う施設でどのような人材が必要なのか、責任者なのか、いち介護職員であるのか、はたまたリーダーシップをとって欲しいのか。まずはそのような、人材の位置づけを明確にすることが大事になります。
位置付けを明確にすること、またそれを人事責任者、現場責任者で共有するとともに、下の職員にしっかりと伝えるようにすれば人材のミスマッチも極力減らすことができます。
介護保険は2000年に始まっており、急速に大きくなった業界になります。
つまり、まだ比較的新しい業界なわけです。しかしわずか20年と立たずに、そのような養成校も合併や閉鎖を余儀なくされ、今後拡大していくことはなかなか考えられないことは、業界の厳しさだけでなく、少子化の影響などもあります。
そのように、学卒者の確保が難しいようであれば介護業界の人達も意識を変えて幅広い人材を集めていかなくては高齢者を支えられない時期に来ているわけです。
もしフルタイムで働けないようであれば、パート職員を複数配置することや、夜勤専従の介護職員の検討など、今まで取り入れてこなかった発想を行っていかない限り施設の維持もできなくなり、結果的にそれは自らももちろん、そこで働く職員や利用する高齢者にも迷惑をかける結果に繋がってしまいます。
具体的求人活動と方法
求人活動においてマーケティングリサーチも非常に重要なことになります。
- 求人を行う施設は求職者からどのように見られているだろうか?
- また同業者や紹介会社などからどのように思われているだろうか?
そちらをリサーチすることがまずは大切になります。
介護業界は、大きく拡大したがまだまだ非常に狭い業界だと言えますので、多くの介護職員は、転職しても多くは介護業界の中で異動することが多いことが統計からも明らかになっているため、原因をリサーチすることで、自施設の離職を抑制したり、他からの転職を受け入れることができます。
ちなみに辞める原因は様々ですが、主にいわれるのは人間関係や待遇、法人の方針への疑問などです。
つまり、逆に考えれば、少々わがままを言っても同様な待遇で他の施設で働ける、と言えるわけです。先ずは、自分たちの施設を客観的に外部や利用者家族、はたまた関連する事業所にアンケート調査を行い、経営者、人事責任者、現場責任者で共有してみることも大切かもしれません。
介護報酬は、全国ほとんど点数に差はないので(地域区分で若干の高低がある)同じ施設であれば収入はほとんど変わらないと考えられます。
つまり、待遇も物凄く変わることは通常考えにくく、多くの場合は働いて頂く環境や働きやすさが職員の定着に大きく影響すると言えるわけです。
その施設で、職員は何を実現したいのか、給料なのか働きやすさなのか、やり甲斐なのかそれが職員の定着に繋がるマーケティングリサーチになるわけです。
無料の求人から動画作成、説明会にも参加する
恐らく多くの法人ではハローワークへの求人、立地によっては学校訪問などで新卒者採用、介護労働安定センターや介護老人保健施設協会や社会福祉協議会を通じた無料の求人などは行っています。
その他、立地によっては都道府県から施設紹介の動画作成の補助金等の活用も考えられますし、各種補助金助成金を利用した待遇改善なども可能な場合もあります。
そのような媒体や手段を多角的に使っていくことも大切になります。
また、余力があれば有料の広告媒体の採用や求人説明会なども活用してもいいと思います。最近では、紹介会社を通じた施設見学会なども盛んに行われていますので、多くの介護施設の中で、その施設の売りや働きがいは何か、経営者や各責任者で話し合い今後の法人を決めることが施設の永続に繋がっていくことになります。
その中で先ずは経営者や責任者が、「どのような人材を求めるのか」を共有し、あとは具体的な活動で獲得していくしか方法はありません。
またせっかく教育した職員も、辞められてしまったらまた一からとなるわけで、職員を大事にし続けてもらうことが実は一番効率的な方法と言えるのかもしれません。