クリニックの増患対策でやるべき3つの方法
開業してみたけれど思うように増患できない。
ある程度は集患も安定しているが、やはり将来のことを考えると増患する仕組みはもっておきたい。
クリニックによって理由は様々だと思いますが、結論から見ていくと経営者であれば増患対策はやっておきたいことではないでしょうか。
そこで今回は、クリニックでの増患対策についてお話していきたいと思います。
1: 増患対策が必要な理由
「増患したい。」
クリニック経営者なら誰しも口にする言葉ですが、増患したい理由をじっくり考えておられる方が意外に少ないのです。
そのため、増患する理由や目的が曖昧なまま対策を始めると、どんなことも同じように中途半端な結果に行き着きます。
そこで中途半端な結果にならないために、どうして増患対策が必要なのか、その理由を考えてみましょう。
まずクリニックとは非営利団体ではありません。
仮に患者さんが一ヵ月間誰も来なくても安泰にやっていける場所ではありません。
クリニックは地域に根差した「ビジネス」を行う場所です。
そしてビジネスを行うためには、安定した収入が必要ですし、安定した収入を生み出すためには患者様が来院されなくてはいけません。
しかしここで、クリニック特有の「安定した収入」に影響を与える要因が2つあります。
ひとつは「患者さんの引っ越し」です。
どの業種でも来店されていたお客様が引っ越しされることはありますが、例えばカフェなどの飲食店や通信販売で商品が手に入る店舗系ビジネスなら、引っ越し先から何かのついでに寄ってくれたり、ネットや電話から注文をしてくれたりすることがあります。
でも、これがクリニックとなると、余程先生にコミットしている患者さんでない限り、遠方からわざわざ車や電車に乗って通院にやってくることはありません。
そもそも患者さんの心情としては「できることならクリニックへ行きたくない」というのが本音ですから、わざわざ来院されることはほとんどないでしょう。
このような要因のため、クリニックと患者さんとの間に問題がなかったとしても、毎年何人かは引っ越しによって患者数が減少し、減少した分の収入が下がっていきます。
ふたつ目は自然現象による患者減少の原因である「死亡」です。
どうしても地域に根付いたクリニックの場合、患者さんの半分以上は高齢者になります。
ですから、ご健康であっても毎年一定数の方は自然現象として「死亡」という事実から患者数が減っていきます。
そしてこちらも引っ越しと同じで、患者さんとクリニックや先生との関係性が良好であっても患者数が減少し、減少した分の収入が下がっていきます。
このような2つの要因によって、いくらクリニックを正常に経営していたとしても、毎年自然に患者数が減少するため増患対策を放っておくと安定した経営を実現できなくなります。
そして経営が安定しないままですと、クリニックを開業するとき先生の目標の一つであった「地域貢献」の活動を続けることができません。これは非常に残念な結果です。
しかし増患対策を行うことで患者数アップが成功できれば、自然現象から起こる不安定な経営の流れから脱出することができるのです。
2: 増患できない2つの理由
増患対策が必要な理由をご説明しました。
続いて、なぜ思っているように増患できないのか、その理由をお伝えしていきます。
(1)アピール
まず、これは大変残酷なお話ですが、ぜひお聞きください。
先生が考えているほど、患者さんたちは先生のクリニックのことを覚えていません。
また、ちょっとした違いですぐに別のクリニックへ変わってしまいます。
「駅前の病院、何て言うところだっけ?」
こんな風に覚えていません。
「新しくできたクリニックの先生がかっこよかった。」
こんな理由で移っていきます。
このようなことが日常的に起こっているため、こちらが考えているように増患することができないのです。
そこでしっかりと覚えておいてもらいたいのですが、常にきちんと外に向けてアピールすることが大切です。
何も「煽りましょう」と言っているのではありません。
事実を外に向けて発信する必要があると言っているのです。
「毎日通勤で前を通っているから知っているだろう」
「何年もここにあるんだから覚えているだろう」
「半年前に来院したから当然覚えているはず」
こういう油断は、ライバル医院につけ込むスキを与えてしまいます。
増患できない理由の一つ目は、外に向けての
- クリニックの得意とする診療
- 先生の実績
- クリニックの理念や先生の想い
こういったことのアピールが足りないということです。
(2)接遇
増患できない理由の2つ目は、クリニックの内側の理由です。
クリニックの内側の理由というと、先生も思いつかれるように「接遇」ですね。
患者はちょっとした態度や声のトーンにも敏感に反応しています。
患者さんへの声かけ。
先生からスタッフへの指示。
スタッフ同士の受け応え。
少しでも患者が「えっ!?」と感じることがあると、簡単に別のクリニックへ移ってしまいます。
だからと言って、患者に対して過剰なサービスを提供しましょうと言っているのではありません。
患者がされてうれしいことを当たり前にやっていきましょう、ということです。
これが意外に出来ていないクリニックが多いため、患者は何も言わずに別のところへ移っています。
穴の空いたバケツから水が漏れるのを防ぐだけで、バケツの中の水は増えていきます。
改善するまでに時間は必要ですが、接遇の問題という「穴」を塞ぐことは大切です。
3: すぐに計画&実践できる増患方法
増患できない理由がわかったところで、すぐにできる方法を紹介していきます。
(1)イーゼル
絵を置くイーゼルをご存じのことでしょう。
イーゼルにブラックボードを置いて、クリニックの前に設置し
- 診療時間
- 「はしか」のような流行している病気への注意ポイント
- 冬ならインフルエンザ、夏なら熱中症への注意メッセージ
こういった内容をアピールすることから始めてみましょう。
どういったものか具体的に知りたい方は、
- スターバックス
- モスバーガー
- ファミリーマート
こういったところへ行くとお店の前に置いてあります。
(2)置き看板
イーゼルよりも費用を掛けるなら置き看板もアピールには効果的です。
最近では動画を流すことのできる、液晶画面型のものもありますので、動画を使ってアピールするのも効果的です。
先生やスタッフが働いている様子や、診察室を写すなどアイデアがいくらでも出てくることでしょう。
(3)口コミ
増患で最も簡単なのは口コミです。
すでに来院されている方に、紹介してもらえるのが一番ですね。
そこで、例えば主婦層の口コミを狙うなら、クリニックで治療した後、知り合いを会う時間帯に予約を取ってもらう方法があります。
午後から友人とランチを取る人なら、午前の最終時間に診察。
保育園バスを午後に待っているママさんなら、その2時間くらい前に診察。
患者さんのライフスタイルを分析することで、知り合いと会うタイミングや一緒に居る人との関係性が見えてきます。
そうするとタイミングや関係性に合わせた口コミされやすい話題を患者さんへ提供することが出来るようになり、今までよりも口コミを促進することができます。
(4)女性に喜ばれる清潔感
クリニックで清潔感が乏しいところはないと思います。
しかし女性は非常に細かなところも見ておられますので、しっかりこちらも対応しておく必要があります。
- トイレや手を洗うところの角は掃除が行き届いているかどうか。
- 待合いのイスの下にはホコリやチリ、患者様が落とされたレシートなどが放っておかれていないかどうか。
奥様がご主人へ紹介することは多いですから、まずは女性に喜ばれる清潔感をキープしておきましょう。
4: まとめ
クリニックの増患対策をご紹介しました。
いきなり全部を行うことは難しいかもしれませんが、一つずつクリアしてもらいたいと思います。
特に外に向けてのアピールは、忘れがちになるところです。
イーゼルや動画を使った目を引く看板で、まずは知ってもらう、覚えてもらうことから始めてみてください。