これからのTVとWEBが変える集客の形
2019年にはついにインターネット広告がテレビCMの売り上げを抜いたことは広告・マーケティングに携わる方であれば誰もが知るところかと思います。
テレビは認知系メディアで、WEBは獲得型のメディアで全く性質の異なるメディアですが、広告不況と言われる現在、認知系施策より獲得型施策が優先され、リスティング、アドネットワーク、SNSなどが活況の中、テレビ局側は焦りを感じ始めています。そこでテレビ局ではコンテンツをwebメディアに提供して若い世代へのアプローチを行なったり、膨大なパネルデータを用いて、ウェブと同様のターゲティングを行い、スポットCMを打つことでアトリビューションに繋げていこうという動きをとり始めています。
目次
TVCMの強みと弱み
TVCMは知名度のない会社や商品の認知度を一気に上げ、ターゲットとする顧客の購買行動につなげることができます。また、売上に貢献するだけでなく、従業員の士気向上や、リクルート、ステークホルダーに対してのイメージアップによる各方面でのパフォーマンスを向上させる力を持っています。その代わりにターゲットを狭く深く絞り込むことは難しく、広告費用はメディアの中でも最も高額となるケースが多いです。
TVCMの種類
TVCMには主にスポットCMとタイムCMとがありそれぞれの特長は下記のようになっています。
・タイムCM
一般的に提供表示の出る30秒CMのことで、契約期間は最低2クール(6ヶ月)となり、全国放送とローカル放送があります。
・スポットCM
番組の中もしくは番組と番組の間を流れる15秒CMのことで番組の中のスポットCMのことをPT(パーティシペーションコマーシャル)、番組と番組の間を流れるCMのことをST(ステーションブレイク)と呼びます。
スポットの線引きには全日型やコの字型、逆L字型があり、狙いたいターゲットの視聴時間に合わせてプランを立てていきます。
・全日型/主に主婦など在宅時間の長い方や、老若男女オールターゲットを狙う線引き方法。
・コの字型/朝や深夜、週末などに視聴時間が多いサラリーマンを狙う線引き方法。
・逆L字型/こちらも深夜、週末などに視聴時間が多いサラリーマンを狙う線引き方法。
TVCMのメリット
・認知度を一気に高めることができ、他の広告との相乗効果も得られます。また、従業員の士気向上や、リクルート、ステークホルダーに対してのイメージアップにも貢献します。
TVCMのデメリット
・電波料だけでなくCM制作費が高額になるなど他のメディアを比較すると初期コストがかかりすぎる点。
TVの効果測定
・TVCMの効果測定は主にGRP(述べ視聴率)で測られます。例えば視聴率10%のTV番組内でCMを10回流せば、10%×10回=100GRPとなります。また最近ではスポットCMの新しい視聴率を測る指標としてP(番組視聴率)+C7(放送後7日間)が用いられています。
WEB広告の強みと弱み
不特定多数の人ではなくその人個人を特定して広告やメッセージを発信していくことができるため、コストパフォーマンスに優れています。また効果検証を行うことにより、CPAの改善を行っていくことでマーケティング効率の向上から経営効率の向上に結びつけていくことができます。
特に売り上げに対して広告予算比率の高い業種や企業において、この効率は企業の明暗を分けると言っても過言ではありません。また、その反面オールターゲットに対して購買などのアクションに結びつけることが難しく、また認知度や理解促進、信用性などを付加することについては新聞やTVには敵いません。
WEB広告の種類
WEB広告にも様々な種類があり、媒体も含めて年々この数は増えてきて数え切れないほどの種類の商品がありますが、主に大別すると下記のようになるかと思います。
・ディスプレイ広告
ウェブサイトを運営する媒体社が自社販売枠として設けている広告枠のことで予約型広告とも言われ、画像や動画で表現できる広告枠のことです。
ディスプレイ広告には予約型と運用型があります。
・リスティング広告
リスティング広告は検索エンジンなどでユーザーが検索ボックスに入力したキーワードに関連した商品をページ内の規定枠内に入札価格順番に表示できる広告のことです。
・ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、デザインやフォーマットが媒体社の編集する記事などに類似した形で掲載される広告のことで、一見すると広告ではなく記事のように見えるため、読者に嫌われることなく自然に読んでもらえるメリットがあります。
WEB広告のメリット
・ターゲットを絞って広告を配信することができるため、コスパに優れている。また、KGI、KPIなどの目標値に向けてPDCAを回していくことで着実に効率化を進めていける。
WEB広告のデメリット
・特定ターゲットには強いがオールターゲットには向かない、特定キーワードによる入札単価の高騰が起きる。
WEB広告の効果測定
・サイトにアナリティクスタグを埋め込むことでCV計測からPDCA、またリマーケティング などの追客ができる。
TVCMとWEBの連携
上記のように性質も異なり一見相性が悪いように思われるTVCMとWEB広告ですが、現在はそれらを統合することでクロスメディアとしてさらにマーケティング活動を効率化する動きが出てきています。
例えばWEB広告において最も売り上げに貢献しているターゲットの属性、年齢、趣味嗜好などのライフスタイルから、パネルデータと突合させて効率的な時間帯や番組に合わせてCMを流すなどの効率化をはかるという施策や、人気のあるTV番組のスピンアウト編をWEBで配信し、WEBへの誘導からコンバージョンまでを分析することでTVCMの予算配分や出稿計画を見直しを図るなどの効果測定に繋げるというものです。
また、最近ではTVCMには一見向かなさそうなBtoB系企業のCMも増えています。狙いにはWEB広告の激化、TVCMのパワーによる自然検索からの誘導や、口コミ、信用度の付加、社員のモチベーション向上、リクルートなどWEBだけではなし得ない様々なTVCMの効果を狙っていると思われます。
最近のBtoB系企業のTVCMの事例
ベルフェイス
オンライン営業システム
(出典)https://www.youtube.com/watch?v=YxajCmkGooA
楽々
経費精算システム
(出典)https://www.youtube.com/watch?v=EQtRr0BvYoU
SmartHR
クラウド人事労務ソフト
(出典)https://www.youtube.com/watch?v=Y6K95z8AmI0
このように今まではTVには向かないと言われていたBtoB商材を扱うような企業がどんどんTVCMに予算をかけ始めています。もちろんWEB広告はBtoBの主戦場でありますが、入札等単価の高騰などレッドオーシャンとなっている中、TVCMは口コミ効果、信頼性の醸成、営業支援効果などなどWEBにはない大きな効果をもたらします。今後においても広告不況によりTVCMの単価が下がることで新興企業などにもCM出稿のチャンスは増えてくるかもしれません。